マークの哲人 上原昌先生

デザイナーの上原昌先生がお亡くなりになられました。

上原さんは日本デザイン界の巨星である故亀倉雄策の弟子。そして僕が非常勤講師を務めさせていただいている長野美術専門学校校長の、日本デザインセンター勤務時代の先輩(上司)。その関係で、学校を通じて何度かお会いしたことがあり、学校の顧問講師もお務めいただいていました。上原先生の代表作は何と言っても「トヨタ」のエンブレム。そして「アサヒビール」のロゴ。企業の哲学を見事に反映しつつ、日本中・世界中の人々の目に長年さらされながら機能する「耐久性のあるデザイン」です。とかく華やかなアーティスト気質のトップデザイナーが目立つ中で、決してスターデザイナーでは無かった上原さんですが、先生のデザイン哲学が盛り込まれた作品は、巨大なクライアント企業と渡り合える重厚な説得力があるものばかり。校長の言葉を借りてまさに “マークの哲人”。お話しも力強く、派手な言葉は使わず、僕らにも真摯に丁寧にお話し下さりました。

「マークについて、私は…」
マークが伝達すべきメッセージには「意味」と「イメージ」があり、この両者は象徴的な図形の中にバランス良く共存していなければならないと考えます。意味性が突出しているマークは、分かりやすいがイメージが膨らみません。逆の場合は、見た人が戸惑う。これは車の両輪のようなもので、バランスがとれていないと、目的の方向にうまく進まないことになります。 マークのデザイン開発作業で最も大事な課題は、まさに、この両者の「バランスの接点」を見つけ出すことであると考えます。~上原昌HPより~

ご冥福をお祈り致します。

 

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